振り返るとすべてコンテンツ。好奇心がワクワクを生み続ける/博報堂「CREATIVE TABLE 最高」リーダー 小島翔太のクリ活

振り返るとすべてコンテンツ。好奇心がワクワクを生み続ける/博報堂「CREATIVE TABLE 最高」リーダー 小島翔太のクリ活

好評発売中の書籍『クリ活2 クリエイターの就活本』から派生して、さまざまな人のクリ活話をお聞きする本企画。今回は、博報堂のクリエイティブディレクター小島翔太(こじましょうた)さん。

今回お話を伺ったのは、SMBC日興証券の「おしえて!イチロー先生」や資生堂のスキンケアブランド「recipist(レシピスト)」のPR動画「たおりゅう」など、一見広告には見えない、思わず続きが見たくなってしまうコンテンツを手掛けてきた博報堂の小島翔太さん。取材から見えてきたのは、何事もやってみる、知らないことに出会って楽しむ「好奇心」の大切さでした。

写真:小島翔太さん
小島翔太さん博報堂
平成元年生まれ。早稲田大学卒業後、2012年に博報堂に入社。マス、デジタルを問わず人の心を動かしたり、コンテンツとして見てもらえるような広告づくりを目指す。2019年4月から博報堂の平成生まれのメンバーで、最高な広告をつくる若手クリエイティブチーム“CREATIVE TABLE 最高”を設立。どん兵衛「どん兵衛ポエム」「どんぎつね写真集」、カロリーメイト「夏がはじまる」などの夏の部活シリーズ、SMBC日興証券「おしえて!イチロー先生」などのイチローシリーズ、資生堂レシピスト「たおりゅう」、ロッテ「クーリッシュ」などを担当。
【 目次 】
「サラリーマンになって働くのが想像できなかった」
大輪の花の元は自分が考えた種だった
感情を記録する日記がおすすめ

「サラリーマンになって働くのが想像できなかった」

──どんな学生生活を過ごしていましたか?
両親が共働きのひとりっ子でいわゆる鍵っ子でした。好奇心は旺盛だったと思います。夏休みは友人との約束も入れづらいので一人の時間が多くて、本やマンガをたくさん読んだり、ドラマやアニメを見たりとエンタメコンテンツに触れていました。

中学高校では軟式テニスに打ち込む日々。部活漬けの高校の頃から、お笑いや漫画や映画などこれまで自分が感動したものに関わりたいと思っていました。ただ、美術大学やお笑い養成所に行くといった大胆な選択肢をするほど真剣でもなく、焦ってもいませんでした。だから大学ではみんなで楽しく遊べるサークルに入って普通の大学生活をしていました。

──どのような就職活動でしたか? 
大学2年生の頃に4年生の先輩がスーツを着て就職活動をしているのを見て、社会の足音が聞こえてきました。周囲の友人はまだあまり就職活動を意識していませんでしたが、自分は先んじて嫌だなと感じていました。このまま大学を卒業していわゆるサラリーマンになって働くのが想像できなかったのです。自分で企画や物語やおもしろいことを考えたい。逆にそれ以外のことはやりたくないし、そもそもできないと思っていました。

では、そんなことを仕事にできるのはどこなのだろうかと考えたときに、テレビや出版社、広告会社だと思い、就職活動を始めました。なかでも幅広くいろいろなことができそうだなと感じたのが広告会社で、縁あって博報堂に入社しました。

大輪の花の元は自分が考えた種だった

──博報堂に入社してから携わった仕事について教えてください。
入社当時はプロモーションの部門に配属でした。プロモーション部門はイベントやキャンペーン、Web動画、ノベルティなど販促に近い領域です。


最初の頃は、自分の考えたアイデアがそっくりそのまま採用されてクライアントにプレゼンできる様な機会はありませんでした。ただ自分の出したアイデアが企画の種となり、チームの先輩方がその種に肥料を与えてくれて、大きな花が咲くことはありました。
華やかな花の元をたどると種を蒔いたのは自分だという経験もうれしかったですし、そもそも新人の企画をフラットにみんなが聞いてくれる風通しのいい環境でした。

プロモーション領域は、数字がはっきりと見える怖さを感じることが多くありました。テレビCMも視聴率という数字がありますが、視聴率は番組に拠る部分が大きくあります。しかしプロモーションは、ダウンロード数や来場者数、アクセス数、再生回数など具体的な数字が出てきます。これはとても怖いことです。思ったようにダウンロード数、コンバージョン数が伸びなかったときには、営業担当者とクライアントにどうやって説明しようか…と不安に駆られたこともあります。この経験が、「生活者にしっかりと届かせたい」という意識が根付いたターニングポイントだったように思います。こうした意識からより生活者のリアクションが求められるSNSやデジタルを活用したキャンペーンで頼られるようになりました。

また、広告よりもコンテンツをつくる意識が強くなりました。コンテンツとはたくさんの人が能動的に見たくなるもの。コンテンツとなると人は興味を示してくれます。

──レシピストの公式アンバサダーの土屋太鳳さん・横浜流星さんによる“たおりゅう”Instagramアカウントなどはまさしくそうですよね。どうすれば見たくなるコンテンツを生み出せるのでしょうか?
人が能動的に動くには、いろいろな要素があると思います。少なくとも世の中ではやっているものや多くの人が興味を持っているものを知らないと企画できません。流行しているものに共通するエッセンスを抽出して、クライアントが持っているサービスや商品が伝えたいメッセージと掛け合わせていきます。あえて無視して逆にいく場合もまず知らないと始まらないのではないかと思います。

──小島さん自身が今後取り組みたいことはありますか?
二つあります。一つ目はコンテンツをピュアにつくることです。いまは「コンテンツとして機能する広告」をつくっています。これとは逆で企画を考える脳ミソ・発想でピュアな物語やプロダクトをつくることに挑戦してみたいなと思います。

もう一つは、クライアントが構想する壮大なプロジェクトに一緒に取り組み、世の中を変えることができたらうれしいです。例えば、自動車メーカーが考えるスマートシティ計画は、1社だけで計画・実行できるプロジェクトではありません。社内にいる数多くの関係者、そしてその街づくりに関する社外のすべての人をまとめあげ、全員で考えていく必要があります。そのなかで広告会社が果たすべきことは、コアアイデアを生み出してプロジェクトに携わる全員が同じ方向を向くことができるような、ベースやビジョンを生み出すことだと思っています。多くの人が関係する大きなプロジェクトにチャレンジをして、結果として大きく世の中が動いたら、それこそ広告会社ならではの仕事だなと思います。



感情を記録する日記がおすすめ

──広告業界ならではの面白さとはなんでしょうか?
「日々好奇心が刺激されて、いろいろなものを見ることができる」、これに尽きます。テレビや出版社、映画などの会社と仕事をするとなれば、昔見ていたコンテンツを目の前にして仕事をすることができます。飲料やお菓子、自動車などのメーカーであれば、その業界のことをとことん教えてもらえます。どんな業界や商品でも各分野に面白い点があります。

大塚製薬のカロリーメイトで部活をテーマに広告を制作しました。そのときに30ものインターハイ競技について詳しくなりました。まったくやったことのないスポーツもありましたが、なにが大変でなにが最高なのかを教えてもらって、すべての部活が青春を懸けるに値する素晴らしい部活だと本当に思いました。

仕事を通して自分がこれまで知らなかったことがどんどん入ってきます。そういったことが複数のクライアントで同時並行に発生するというのは本当にワクワクします。

──どんなことにもワクワクし続ける好奇心が大事なのですね。
好奇心は二方向あると考えています。一つは、僕みたいにいろいろなことに興味があり、そこからワクワクするエッセンスを抽出して新たになにかを生み出そうと考えるタイプです。もう一つは、自分の興味やこだわりがとても深く、一つのことに1万時間を費やして突き詰める中で本質を導き出すタイプ。好奇心の方向性は違いますがどちらも熱中している、能動的に動いている点では同じです。思考のアプローチは違っても最終的に考えている部分は同じなのかもしれません。

──広告業界はミーハー気質もオタク気質も向いているのですね。最後に学生の皆さんにメッセージをお願いします。
なんでも体験したり、見てみた方がいいと思います。この仕事をしていると、自分の引き出しからしか企画は出ないとよく言われますが、小さいころから大人になるまでに見てきたコンテンツはもちろん、自分が体験してきた、考えてきた人生のさまざまなことの一つひとつが振り返ると引き出しになってしまう仕事です。親との喧嘩も、友人との爆笑も、失恋の悲しさも全部仕事に活かされてしまいます。だから感情が動くきっかけになるようなことはなんでも体験してみてください。

恥ずかしいのですが、高校3年生から日記を書いています。中学生のときに、この中学3年・高校3年は、長い人生の中でもとても特別な期間なのではないかと思っていました。「青春」という名前がついているくらいだから。その特別な期間のあたりまえの毎日は後から振り返ったときに、めちゃくちゃキラキラしているだろうなと考えて、中学生の時から日記にして残したいと思っていました。でも「日記書いている男とかダサすぎだろ」と思う思春期のダサい自分もいて書けずじまいでした。ですが、いよいよ高校3年の夏に部活を引退した日、もう日記に部活の日々を書いて残せるチャンスをなくしてしまった…と気づいたのです。ダサいとか、そんなことを言っている場合ではないと思い、その日から日記を書き出しました。テニス部を引退した高校3年のあの日から今日までの日記があります。

「やろうかな、でもどうしよう…」とくすぶっていることがあれば、絶対に一歩を踏み出してほしいです。それがいつか次の好奇心の種になったり、仕事で助けてくれるかもしれません。



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