「何をやるべきか」を最初に定義してチームに示す仕事/ストラテジックプランナー 岡村明理さん〈広告業界のプロ図鑑〉
ビジネスプロデューサー(営業)、マーケター、コピーライター、アートディレクター、プランナー…と広告業界にはさまざまなプロフェッショナルな職種が存在します。「カタカナの職種が多くて、なにをやっているかわからない」「その職種がどんなキャリアを歩むのか見通せない」と悩んでしまう就活生も多いはず。今回は各職種につく先輩たちに「●●職の仕事とは?」について解説いただきました。読売広告会社で働くストラテジック(戦略)プランナーの岡村明理さんに語っていただきます。岡村さんが考えるストラテジックプランナーとは?(以下、『広告界就職ガイド2026』(宣伝会議)より一部を転載)
- 岡村明理さん読売広告社 ストラテジックプランナー/データストラテジスト
- 2015年読売広告社入社。以後、営業職として不動産や、インフラ・エネルギー業種をメインに担当。2021年よりデータ・デジタル領域のストラテジックプランニングを中心に、AI売上予測、DX支援、マーケティング・ミックス・モデリングを用いた購買予測などの得意先業務に従事。現在はAI・データ領域を中心に自社向け/外向けソリューションを開発中。
- 【 目次 】
- 様々な情報の収集・分析を通じて企画の方向性を決める
- 広告界就職ガイド2026ではストラテジックプランナーの具体的な仕事がわかる
様々な情報の収集・分析を通じて企画の方向性を決める
ストラテジックプランナーは、企画立案の先駆けとして「何をやるべきか」を最初に定義して、チームメンバーに示す仕事です。場合によっては、クライアントが次に行うべき施策を検討する際の課題発見・課題創出の相談相手となることもあります。例えば、新規事業を立ち上げたいけれど、どのような価値を創出すべきかといった相談です。
それを受けて私の場合は、まずは大量の情報を集めることから始めます。クライアントの歴史や事業内容の変遷、リリース内容、中期経営計画で将来的な展望などを確認します。続いて、同業他社やサービス軸で見た時の競合企業についても同様に情報収集を行い、業界の全体像を把握します。その後、いくつかのフレームワークを活用して分析を行うこともあります。そこまでがクライアントに関する情報収集。他方でSNSの口コミや検索ビックデータなどを分析して、生活者側の傾向と心理を把握します。海外の先行事例の収集をする場合もあります。
それらの情報から、その企業ならではの特色が出ている部分を抽出し、類型化や分類を行います。時代とともに変わる生活者のインサイトの中から、競合では解決できていないものを見つけ、クライアントの歴史や理念、持っている技術などの資産を踏まえたときに何をやるべきかを統合的に考え、見出していきます。
7割方の方向性が見えたら、文書にまとめます。内容は、「業界内の立ち位置」「課題発見と問題定義」「ターゲットの明確化」「コミュニケーションの方向性」「ゴールの設定」などです。そこから、クリエイターが企画コンセプトやコピーを考えたり、プロモーションの企画が動き出すといった流れになります。
その後、提案に説得力を持たせるための裏付けデータをそろえ、クライアントに提案書を出したり、プレゼンテーションを行ったりするのですが、明文化してストーリーにするまでで戦略家であるストラテジックプランナーの仕事の大部分は終わっています。課題を発見(創出)し何をやるか決めることと、そこまでのストーリーをつくることが大事な仕事です。
クライアント企業は、人や物、予算などのリソースが限られているため、やるべきことの優先順位を決める必要があります。やるべきことを定めるということは、やらないことを決めるということです。そうやってリソースをやるべきことに集中させていきます。
広告界就職ガイド2026ではストラテジックプランナーの具体的な仕事がわかる
『広告界就職ガイド2026』( 2024年10月28日発刊)には、本記事で「ストラテジックプランナーとは?」について解説いただいた岡村明理さんが携わった事例などを紹介しています。とくに近年重要になっているデータを用いた分析について、データストラテジストとしてどのように携わっているのか、語っています。書籍詳細はこちらから。