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レポート

インターネット広告の基礎知識

マスナビ編集部

インターネット広告の基礎知識

私たちの日常生活に欠かせないものとなったインターネット。その中でも広告は多様化が進んでいます。検索エンジン、SNS、動画などに加え、マス広告由来のインターネット広告が登場するなど、たくさんの種類があるので、わかりにくいですよね。今回はそんなインターネット広告の基礎知識をご紹介。その特徴を理解して、企業研究を進めていきましょう。

インターネット広告ってなに?

インターネット広告とは、Webサイトやアプリ、メールなどのインターネットを利用した広告・マーケティング活動のうち、インターネット上のメディア(媒体社)によって用意された有償の枠に掲出されるものを示します(一般社団法人日本インタラクティブ広告協会より)。「Web広告」「オンライン広告」と呼ばれることもありますが、同じものを指しています。

インターネット広告の広がりとその理由

インターネット広告費は年々増加してきました。毎年、大手広告会社の電通が発表している調査レポート「日本の広告費」を読むと、インターネット広告費は2020年の日本の広告費全体の36.2%を占めていることがわかります。マスコミ4媒体広告費(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)が36.6%となっており、マスメディアの広告費に肉薄している状態です。




なぜインターネット広告費が大きく成長を遂げているのでしょうか。スマートフォンやタブレットの普及も大きな要因ですが、インターネット広告の特徴にもその理由があります。テレビや新聞などの「マス広告」や、駅構内や電車で掲示される「交通広告」などは、視聴者が広告内の情報を受け取るだけの一方通行なコミュニケーションとなってしまいます。対して、インターネット広告では顧客の「興味・関心」や「悩み」に合わせた双方向のコミュニケーションが可能です。興味が湧くと、多くの人がインターネット検索を行います。インターネット広告は、その検索結果に連動した広告表示ができるため、検索者の関心に沿う情報を届けられ、商品の購入やコンテンツへのアクセスにつながりやすくなるのです。みなさんも、とある商品やサービスについて調べていたら、それに関連した商品の広告が出てきた、なんて経験があるのではないでしょうか?

検索や閲覧履歴だけではなく、ユーザーの年齢や性別、居住エリアなどから広告を配信するターゲットを絞り、費用対効果を上げることができるのもインターネット広告の特徴です。ただ、近年は個人情報保護の観点から、検索結果などを使った広告配信ができないケースもでてきたため、デジタルマーケティング会社は新たな手法を模索しています。

また、広告の効果を測定できることもインターネット広告の特徴です。どの広告がどれくらい表示されたのか、どれくらいクリックされ、どれくらい商品の購入につながったのかなど、細かなデータを取得することができます。成果を確認できるだけでなく、改善施策にも役立てることができるようになっています。

短期間で広告掲載ができる、というのもマス広告とは異なる、インターネット広告ならではの強みです。テキストやバナーといった広告クリエイティブと、広告をクリックした先に受け皿となるWebページ(ランディングページ)があれば実施が可能となります。制作から掲載開始までの時間が短く済むケースが多いです。

代表的なインターネット広告とその特徴

ここでは代表的なインターネット広告を紹介していきます。(1)広告のフォーマットと(2)広告取引の形態─の2つの観点から、分類をしていきます。

(1)広告のフォーマット
■ディスプレイ広告
バナー広告とも呼ばれ、静止画やGIFアニメーション画像などで表現される広告のこと。クリックされなくても表示させることで認知を獲得することにもつながる。

■動画広告
映像と音声で表現する広告。テレビ用に制作したCM素材をそのまま配信したり、Web専用に制作するWebCMを配信したりするケースもある。動画広告の中にもいくつか分類があり、動画配信サイトの動画本編の前後で配信されるインストリーム広告、SNSのタイムライン上に配信するインフィード広告などが挙げられる。スマートフォンの普及に伴い、正方形の動画やタテ型動画なども増えている。

■テキスト広告
文字(テキスト)で表現される広告のこと。Googleでとあるキーワードを検索すると検索結果のページ上部に出てくる検索連動型(リスティング)などが該当する。

■メール広告
メールで配信される広告のこと。メールマガジンとして配信するメールマガジン型広告と、メール全体が広告主情報であるDM型広告の2つが代表的である。


(2)広告の取引形態
■予約型広告
予め、期間やサイトの配信面(掲載する場所)が決められた広告枠のこと。たまにYahoo!のトップページ全体に大きなバナーが掲示されることがあるが、あれは予約型広告の一種。

■運用型広告
広告内容が予め決まっているわけではなく、入札(競り)形式によって取引する広告枠のこと。媒体社は複数の広告枠をひとまとめに管理をしており、発注側は広告面や生活者の行動履歴などを指定して広告配信をすることができる。検索結果に合わせて表示されるリスティング広告などがその一例。

デジタルマーケティング会社の仕事内容は?

広告主の目的・要望・条件に沿って広告戦略を策定し、その中でインターネット広告メディアへの出稿に関しても、最適なメディアプランの作成と、それに沿った広告配信先・掲載先への発注を行います。

1.出稿目的についてクライアントと確認
2.メディアプランの立案、見積作成
3.プランに沿った広告掲載の発注
4.広告原稿の入稿
5.配信条件を設定し、広告配信
6.効果測定と分析レポート作成

主なデジタルマーケティング会社

インターネット広告に関わる会社は、Yahoo!やGoogleなどの媒体社に代わって広告メニューの販売を行うメディアレップ、広告枠を仕入れて直接広告主に販売までを行うデジタルマーケティング会社(デジタルエージェンシーやインターネット広告会社などと呼ばれることも)の2つに分けられます。

●メディアレップ
・株式会社サイバー・コミュニケーションズ(cci)
1996年に電通とソフトバンクの合弁会社として誕生した会社です。創業以来、業界最大手メディアレップ企業として常にデジタル広告市場を牽引してきました。現在は電通資本100%のCARTA HOLDINGS傘下に入り、メディアレップにとどまらず、デジタルマーケティングに関わるさまざまな分野にて、ワンストップサービスを展開しています。

・デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムホールディングス株式会社(DAC)
博報堂DYメディアパートナーズをはじめとした大手広告会社の共同出資により、インターネット広告分野に特化したメディアレップとして設立された会社です。インターネット広告市場の拡大と共に成長し、現在では連結小会社40社を擁する一大グループになっています。

・株式会社ADKデジタル・コミュニケーションズ
電通デジタル・ホールディングスとADKの合弁により、2011年に設立された会社です。現在は、ADKマーケティング・ソリューションズ の100%子会社として、ADKグループのデジタルビジネスを担当しており、メディア・オペレーション業務の効率化を推進すべく、事業を展開しています。

●デジタルマーケティング会社
・株式会社サイバーエージェント
インターネットメディア・インターネット広告・スマートフォンゲームを柱に、インターネット分野で幅広く事業を展開するインターネット総合サービス会社です。2016年にスタートしたインターネットテレビ局「AbemaTV」は、視聴者数が2019年6月に1000万人を突破。急速にサービスを拡大しています。

・株式会社デジタルホールディングス
1994年に株式会社オプトとして創業された、デジタルマーケティングを軸に個客の未来を実現するイノベーションカンパニーです。インターネット広告代理事業を主として、顧客のマーケティングと事業成長を支援してきました。2020年7月より社名を「株式会社デジタルホールディングス」へ変更し、デジタルシフト事業へと事業構造を改革し、企業全体のデジタル化を全面的にサポートしています。

・株式会社セプテーニ・ホールディングス
インターネット広告を軸に、ネットマーケティング事業やメディア・コンテンツ事業を展開している会社です。インターネットを活用した、包括的なマーケティング支援サービスを企業向けに展開しています。現在は海外11箇所に拠点を拡大し、グローバルにサポートできる体制を構築していることも特徴です。2018年10月には電通との資本業務提携も発表されました。

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