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レポート

血液型診断をうのみにしてしまう就活生は必読 ─ 就活を成功させるための心理テクニック 第8回

橋本之克さん

血液型診断をうのみにしてしまう就活生は必読 ─ 就活を成功させるための心理テクニック 第8回

近年大注目の「行動経済学」。不合理な生き物である人間を、心理学と経済学を用いて分析する考え方で、マーケターが消費者インサイト(消費者自身が気づいていない本音や動機)を捉える際にも参考にするメソッドです。就職活動も人の不合理な判断が少なからず起きてしまいます。判断を誤らないように、行動経済学を用いて就活対策をするならば──。

第8回は、「占いや血液型の性格診断、適職診断などで提示された情報が的中している!」とついつい感じてしまう心理について。目の前の就活だけでなく、将来の仕事から実生活にも役に立つ、就活を成功させるための心理テクニックをお伝えしていきます。(マスナビ編集部)

人は無意識に情報を選り好みしている

あなたは自分の貯金をはたいて買ったパソコンに関する記事を読んでいるとします。そのパソコンの長所が書かれた記事と、逆に欠点が並べられた記事の二つがあります。これら双方を目にしたならば、おそらくあなたは自分のパソコンが良く書かれた記事を熱心に読むことでしょう。

この行動には行動経済学における「確証バイアス」が影響しています。これは自身の持つ考えや推論を調べる際に、その正しさを裏付ける情報を重視し、そうでない情報を無視または軽視する傾向です。こうした判断をするのは、人間誰しも無意識に自分は正しいと思っているためです。しかし根拠となる情報が偏った結果、誤った判断を下す可能性があるのです。

この心理に基づく行動は、しばしば見られます。2020年11月に行われた米国の大統領選挙はその一例です。選挙の結果、民主党のバイデン大統領が勝利し、執務期間は既に1年を越えました。ところがトランプ支持者は、いまだに選挙の勝者がトランプだと信じ、選挙結果の再集計を求め続けています。この間に支持者たちは、選挙結果に不備があるとした情報ばかりに注目してきたのだろうと想像できます。少なからず「確証バイアス」が働いていると考えてよいでしょう。

この心理は、就活における情報収集の仕方にも影響する可能性があります。皆さんはネットや書籍などを通じて、希望する企業やその業界の実態や評判、成長率などを調べるはずです。またはOB・OG訪問を通じて実際に就職した先輩たちの感想を聞くかもしれません。

その際に「確証バイアス」の影響を受けると……


この続きは、新刊『なんで?を解き明かす行動経済学が導く 納得就活~就活を成功させるための心理テクニック~』で読むことができます。
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性格診断が自分に当てはまっている!と感じてしまう心理

ここまで解説した「確証バイアス」は、現実を把握する際に情報の取捨選択を誤らせるバイアスでした。これとは別に自己分析の際に、認識を歪めるバイアスがあります。「バーナム効果」と呼ばれるもので“誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格や特徴”などを“自分に当てはまる”と思ってしまう心理です。

典型例は「A型は几帳面で真面目」「B型は好奇心が強くミーハー」「O型はおおらかでマイペース」「AB型は二面性があってミステリアス」などの血液型性格診断です。日本ではよく知られているものですが、現実にはA型以外の人も仕事や勉強には真面目に取り組みますし、B型以外の人も余暇や趣味をいろいろと楽しみます。示された性格はある程度、どの血液型の人にもあてはまります。しかし根拠がありそうな形で提示されると、自分にあてはまると思ってしまうのです。

皆さんは就活の過程で……


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第1回「ゼミやサークルを優先して、就活を後回しにしてしまうのはなぜ?」を読む
第7回「他者に流されずに志望業界を見定めるには」を読む
第9回「なぜ就活では“軸”が大事なのか」を読む

著者プロフィール

マーケティング&ブランディングディレクター/昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員 橋本之克さん
東京工業大学社会工学科卒業後、読売広告社、日本総合研究所を経て、1998年アサツー ディ・ケイ入社。戦略プランナーとして金融・不動産・環境エネルギー等の多様な業界のクライアント向けに顧客獲得業務を実施。2019年独立。現在は、行動経済学をビジネスに活用する企業向けのコンサルティングや研修講師を行う。また企業や商品に関するブランディング戦略の構築と実施にも携わる。著書に『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』(秀和システム)、『世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学』(総合法令)ほか。