RESEARCH業界・職種を学ぶ 就活・自分を知る

レポート

なぜESを他者にチェックしてもらうべきか ─ 就活を成功させるための心理テクニック 第13回

橋本之克さん

なぜESを他者にチェックしてもらうべきか ─ 就活を成功させるための心理テクニック 第13回

近年大注目の「行動経済学」。不合理な生き物である人間を、心理学と経済学を用いて分析する考え方で、マーケターが消費者インサイト(消費者自身が気づいていない本音や動機)を捉える際にも参考にするメソッドです。就職活動も人の不合理な判断が少なからず起きてしまいます。判断を誤らないように、行動経済学を用いて就活対策をするならば──。

第13回は、「自分のエントリーシート(ES)のエピソードが魅力的だと思いこんでしまう」心理について。目の前の就活だけでなく、将来の仕事から実生活にも役に立つ、就活を成功させるための心理テクニックをお伝えしていきます。(マスナビ編集部)

ESを書くときに気をつけたいこと

「断捨離」は2010年に「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされるほどのブームになりました。さらに「こんまり」こと近藤麻理恵さんの書籍『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)は米国をはじめ世界でベストセラーとなっています。日本のみならず世界中の人が「片付け」に悩んでいるのかもしれません。

行動経済学の視点で見ると、自分の物を捨てられない原因は「保有効果」だと考えられます。これは人が、一度手元に置いた所有物に対して高い価値を感じる心理です。この影響で人は、物を手放したくないと感じ、捨てられなくなるのです。しかし所有者以外の人に「保有効果」は働きません。周りからは、なぜ大事にするのか、なぜ捨てられないのかが理解できないわけです。

この「保有効果」は形のある物だけでなく、権力や地位、名声、名誉、利権など、無形な物に対しても働きます。

この心理は皆さんの就活にも影響します。例えば……


この続きは、新刊『なんで?を解き明かす行動経済学が導く 納得就活~就活を成功させるための心理テクニック~』で読むことができます。
書籍『なんで?を解き明かす行動経済学が導く 納得就活~就活を成功させるための心理テクニック~』の詳細はこちら

弱点から一発逆転

ここまで「自己評価を高く見誤る」心理的バイアスに関して解説しました。この誤りを言い換えると「自分の短所や弱みを見逃してしまう」ことです。短所や弱みがあることに気づかない、あるいは気づいていても重要視しないといった状態です。

一方、企業の人事担当者は何年にもわたり、何百、何千人もの就活生に接してきています。短所や弱点は、簡単に見抜かれるでしょう。それであれば、それらを認めたうえでの戦い方を考えてみてはどうでしょう。自分の短所や弱点を、魅力や特長に変えてアピールする考え方です。

そんなことができるのだろうか? と思う方のために、私自身が広告会社やシンクタンクで経験してきた“企画コンペ”の戦い方を紹介したいと思います。


この続きは、新刊『なんで?を解き明かす行動経済学が導く 納得就活~就活を成功させるための心理テクニック~』で読むことができます。
書籍『なんで?を解き明かす行動経済学が導く 納得就活~就活を成功させるための心理テクニック~』の詳細はこちら


第1回「ゼミやサークルを優先して、就活を後回しにしてしまうのはなぜ?」を読む
第12回「コロナ禍でガクチカが書けない人は必見」を読む
第14回「時間をかけて考えたESを刷新するのはもったいない?」を読む

著者プロフィール

マーケティング&ブランディングディレクター/昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員 橋本之克さん
東京工業大学社会工学科卒業後、読売広告社、日本総合研究所を経て、1998年アサツー ディ・ケイ入社。戦略プランナーとして金融・不動産・環境エネルギー等の多様な業界のクライアント向けに顧客獲得業務を実施。2019年独立。現在は、行動経済学をビジネスに活用する企業向けのコンサルティングや研修講師を行う。また企業や商品に関するブランディング戦略の構築と実施にも携わる。著書に『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』(秀和システム)、『世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学』(総合法令)ほか。