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レポート
広告・クリエイティブ業界の個性溢れる若手クリエイターを選出! 「YOUNG TALENT SHOWCASE こんな若手がいたなんて」イベントレポート
一般社団法人 ACC
ACCは、新プロジェクト「YOUNG TALENT SHOWCASE こんな若手がいたなんて」を開始。広告業界にもまだスキルフィットしていないような、まだ見ぬ才能に光を当てる場として実施されたプロジェクトです。クリエイティブ業界で働く35歳以下の若手を募集し、審査を経て選出された10組がアイデアの祭典「TOKYO CREATIVE CROSSING」に出演し、さまざまなジャンルのメンターとともに、その才能の発展のさせ方や、仕事での活かし方について話し合いました。本記事では、選出されたクリエイターのイベント登壇の様子をダイジェストでお届けします。
VTuberや俳人、発明家が登壇! DAY1レポート
漫画家やエベレスト登頂経験のあるコピーライターなどが登壇! DAY2レポート
2日目のトップバッターは博報堂の安田翔哉さん。博報堂でCMプランナーとして企画考案だけでなくアニメ制作や企業のキャラクターづくりもしています。イラストを描くことが好きで、小学館の新人コミック大賞を受賞。以降も2つの賞を受賞するなど、活躍の場を広げています。広告の仕事で培った企画力やノウハウ、ニーズを活かしたマンガづくりで賞を獲得したと話しており、逆に広告の仕事にどうマンガの技能を活かせるのか、トークが繰り広げられました。
次に登壇したのはデイリースポーツ案内広告社の伊藤孝浩さん。青一色の防寒着で登場した伊藤さんは、エベレストに登頂した経験のあるコピーライター。会社の研修で富士山に登山したことをきっかけに登山にハマり、全国の山を登るようになり、3年間のトレーニングを経てエベレストに登頂成功したとのことです。「登山で培った忍耐力、体力、根性、精神力が仕事に活かせているのではないか」とメンター山崎隆明さんからの言葉がありました。
そしてSNSで話題のおやつギャグクリエイターのカナイガさんが登壇。カナイガさんはCMプランナーの仕事をしながら、食べ物の美味しそうでかわいい見た目と言葉あそびの楽しさが好きで、両方をモチーフにした作品を制作。大きく話題になった、舟皿に入った巨大なたこ焼きを川で流した「たこ焼きの舟」やとうもろこしと婚約指輪を組み合わせた「コーン約指輪」などの作品の紹介がありました。今後の展開についてメンターの栗林和明さんからは「ブランド化×メディア化」の可能性が語られました。
最後に登壇したのはロボットを着こなし、クリエイティブの荒波も乗りこなすメカエンジニアのきゅんくん。人とテクノロジーの関係性を追求し、多様な生活を豊かにしたいと考えています。「ハードウェアで一人ひとりに合わせた体験をつくり、広告分野で活用するにはどうしたらいいか?」という質問に、メンターの栗林さんからは「プロトタイプを増やすといいのではないか。ロボットは便利にするものだというイメージがあるから、きゅんくんの考えることはいい意味で想像がつかない。だから考えの片鱗だけでも見せてくれたら、企業から声がかかるのでは」とメッセージがあり、きゅんくんの「過程を見せる取り組みはやってみたいと思っているところだった。ぜひ挑戦してみたいです」と前向きな発言で締めくくられました。
なお当日のイベントの様子は下記のACC公式YouTubeチャンネルから閲覧することができます。
メンター紹介
尾上 永晃
電通/プランナー
工藤 里紗
テレビ東京/制作局 クリエイティブ制作チーム チーフ・プロデューサー
栗林 和明
CHOCOLATE/取締役、チーフコンテンツオフィサー
児玉 裕一
vivision 映像ディレクター/CANADA LONDON
佐久間 宣行
テレビプロデューサー
澤本 嘉光
電通グループ/グロース・オフィサー、エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター、脚本
嶋 浩一郎
博報堂 執行役員/博報堂ケトル 取締役 クリエイティブディレクター
多田 真穂
電通クリエーティブX/エグゼクティブプロデューサー、執行役員
中村 洋基
PARTY Creative Director、Founder/ヤフー メディアカンパニーMS 統括本部 ECD/
電通デジタル客員 ECD/combo 代表取締役
古川 雅之
電通(Creative KANSAI)/グループ・クリエーティブ・ディレクター、CM プランナー、コピーライター
山崎 隆明
Watson-Crick/クリエーティブディレクター、CM プランナー
主催:一般社団法人 ACC
クリエイティビティの発展に資する事業を行うことにより、日本の産業のさらなる振興と文化・芸術の向上に寄与することを目的とする法人。あらゆる領域のクリエイティブを対象としたアワード「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」などを運営。
はじめに登壇したのはVTuberとして活躍するレオン・ゼロミヤさん。独学でアバター制作やVR空間での撮影を学び、趣味として動画を投稿。4年間の活動でチャンネル登録者数が1万人を突破しています。昔から広告業界のクリエイティブ職に興味があったなかで趣味として始めたVTuberで実績を積んだゼロミヤさん。「活動で得たVRやSNSの知見が評価されて広告クリエイティブ職になれた」と広告業界に入ったきっかけが語られました。「広告とバーチャルの相性が悪く、仕事につなげにくい」というゼロミヤさんの身バレ問題のお悩みに対し、メンターの児玉裕一さんと嶋浩一郎さんからは「生身の身体を捨て、バーチャルの世界で生きていくのもありなのではないか」とアドバイスがありました。
続いて登場したのがCHOCOLATE所属の岡崎アミさん。大学2年次からCHOCOLATEに参画し、『クリープハイプの声をシャワーのように浴びる展』をはじめとする展示の企画から、映画の小道具美術、ストーリーと世界観の開発や模型制作まで、空間にかかわるさまざまなクリエイティブに携わっています。物語×空間×体験を軸とした広告や映像の仕事に取り組むなかで、「このバックグラウンドをどう活かしたらよいかアドバイスが欲しい」との質問が。メンターの二人からは「フルCGの映像世界には体感が乏しい。そこに舞台美術の視点で3D空間をつくるとレベルアップするのでぜひディレクションしてほしい」と前向きなコメントが送られました。
続いて電通の谷菜々子さんとADKマーケティング・ソリューションズの福島滉大さんが登場。お二人の共通点は「オタク」。知見を活かした企業×IPのコラボレーション施策に強みを持っています。Z世代が「推し活」に多くの時間を割くなかで仕事で声をかけてもらうことが増えたものの、ほかの案件に比べてIP関連の仕事は結果を残しても社内で評価されにくいことが悩みとのこと。メンターの工藤里紗さんからは「このまま突き進んでほしい。専門性のあるオタクこそが世の中を変えられるはずなのでぜひ先駆者になってほしいです」とエールが送られました。
以降もさまざまな特色のあるクリエイターが登場。広告領域外で突出した才能を持っている3人が登壇しました。
まずは「俳句界の芥川賞」とも呼ばれる角川俳句賞を歴代最年少で受賞した電通 岩田奎さんが登壇。岩田さんは高校時代に俳句制作を始め、俳人としてこれまで数々の賞を史上最年少で受賞しています。俳句とコピーは短い言葉であることからシナジーを生めるのではないかと考え、コピーライターとして電通に入社。しかし俳句は大衆にとってわかりにくいもので、世の中に広く伝える広告とは性質が異なるため、互いに役立てられないと悩みがありました。メンターの古川雅之さんは「まずは広告は広告で分けて考えてもよいのではないか。自然に俳句で培われた力が発揮されるはず」と助言がありました。
続いては、世界が注目するアーティスト兼パフォーマーの電通 小野澤峻さん。高校からジャグリングパフォーマーとして活動しつつ、ジャグラーの身体感覚を発想の起点にパフォーマンスと展示・美術と物理などの領域を往来した作品を制作する芸術家として活動。2021年には世界を変える30歳未満30人の日本人を表彰する「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」に選出されています。小野澤さんのお悩みは、広告の業務になかなか自身の得意領域を結びつけられないこと。そこで同じ電通のメンター澤本嘉光さんからは「実はコロナ禍ということもあり、小野澤さんが弊社の社員だとは知らなかった。他の社員にもまだ知られていない可能性もあるので、会社で芸術部を立ち上げるなど存在を知ってもらうことで、仕事につながることも増えるのではないか」と具体的な進言も。
最後に登場したのは「無限バンクシー」などの話題作を制作する「バズり続ける発明家」、面白法人カヤックのゆうもやさん。自身が設計した「おしゃべりひろゆきメーカー」はTwitter(現X)でトレンド1位、コンテンツに関する投稿ツイートが3日で5万件とかなりの反響を獲得しています。2023年4月にカヤックにエンジニアとして入社して以降、時間の使い方に悩んでいるとのこと。仕事と仕事以外の制作とのバランスをどう取っていくべきか、アドバイスを求めました。メンターの佐久間宣行さんは、「仕事と仕事でないものを切り分けず、面白いものをつくる意識を常に持っておき最終的に仕事に結実するように考えるとストレスなく活動できるのでは」とコメント。メンターの澤本さんからは「こんなことをしたいと周囲に言ってみることが大事。言い続けていると共感してくれる誰かが見てくれる」と励ましの言葉がかけられました。