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レポート

2023年コミック市場6900億円のうち約7割は電子【出版科学研究所調べ】

マスナビ編集部

出版業界の調査研究機関である全国出版協会・出版科学研究所は、2023年のコミック市場の推定販売額を発表した。

紙と電子を合わせたコミック市場は、前年比2.5%増の6,937億円に伸長した。紙のコミックス(単行本)とコミック誌を合わせた推定販売金額が、前年比8.0%減の2,107億円。電子コミックは前年比7.8%増の4,830億円と大きく伸長した。


メディアミックス作品が牽引するも、紙コミック全体に波及せず

紙のコミック市場2,107億円(前年比8.0%減)の内訳は、コミックスが前年比8.2%減の1,610億円、コミック誌が前年比7.4%減の497億円であった。紙コミックスはコロナ禍の2020年、2021年に大きく伸長していたが、2022年には鎮静化、2023年は2019年の販売金額を下回っている。


『【推しの子】』(集英社)、『葬送のフリーレン』(小学館)などアニメ化作品が人気となり売り上げに貢献した。一方で、紙コミックスは新刊の売り上げが中心で売れ行きが一部の上位作品に集中するため、幅広く売れる状況に乏しい。またコミック誌は減少が続き、Webやアプリへ切り替える動きも多くなっている。

ストア独占・先行配信の強化やオリジナル作品で電子コミック好調

電子コミック市場は前年比7.8%増の4,830億円に伸長した。2022年の伸び率には届かなかったものの、依然として好調に推移している。成長の要因はストア独占・先行配信作品の強化や電子オリジナル作品、縦スクロールコミックの好調である。また、「ピッコマ」で取り上げられた『トリコ』(集英社)や広告出稿した『コウノドリ』(講談社)など、完結した作品の掘り起こしも成功している。