現在までの仕事内容を教えてください。
入社後は媒体部に配属され、テレビと交通広告のメディアプランニングや広告企画の制作を行っていました。
入社3年目からは、営業開発部に異動し、JR東海グループ以外の企業や自治体への営業を担当。多種多様なクライアントがいる中で、私は主に「観光」視点で、自治体の観光プロモーションや交通事業者の旅客輸送増加のためのプロモーションを担当していました。
直近はまた媒体部に異動し、雑誌・Web・交通広告のメディアプランニングや広告企画に従事しています。
媒体部と営業開発部の違いを教えてください。
まず、営業開発部はJR東海グループ以外の企業や自治体に対して、広告コミュニケーション全般における課題をヒアリングし、社内スタッフとともに課題解決を行う「クライアントとの窓口」になります。相手の求める真意を汲み取る観察力や本音を引き出すコミュニケーションを通して、クライアントとの信頼関係を築いていくことが重要です。
一方で媒体部はその社内スタッフ部門の一つで、営業がヒアリングしたクライアントの課題を、メディアの視点から解決するための企画をプランニングし、買い付け、進行までを行う部門になります。テレビや雑誌などのマスメディアに限らず、SNSやWebメディアなど、世の中のありとあらゆるメディアの特性を把握し、クライアントの課題解決に寄与する企画をメディアとともにつくり上げるため、メディアに関する幅広い知見や交渉力が必要になります。
印象に残っている仕事を教えてください。
営業開発部で携わった2つの仕事です。
1つ目はフェリー会社の家族向け夏休み企画で、国民的アニメとタイアップしたイベント。フェリー就航50周年の節目に、フェリーという移動手段の認知拡大とファミリー層を中心とした利用促進を目的として提案した企画です。イベントコンセプトや限定グッズ、船内イベント、限定コラボメニューのアイデア出し、版権元への確認や折衝、調整まで行い、実現しました。
コンテンツとのタイアップ企画は制約が厳しいんです。使用するコンテンツやキャラクターの世界観が提案した企画と合っていない場合は、大幅に変更しなければならないこともあります。「イベントのコンセプトは世界観を遵守しているか」「キャラクターに合う行動やリアクションは何か」など、クライアントだけでなく、アニメの版権元とも細かくすり合わせながら提案する日々。面白さの担保とコンテンツイメージの両立を考えながら進めるのに苦労しました。
苦労して迎えたイベント期間。アニメコラボでSNSのフォロワーは4倍以上になるなどフェリーの認知度は上がり、通常時より家族での乗船客を増やすことができました。結果として、現在も継続で夏休み期間に行う定番イベントにすることができ、今年で開催3年目となる印象深い仕事です。
2つ目はコンペで獲得した三重県東紀州地域の観光プロモーション動画制作。コロナ後のインバウンド需要にあわせた台湾人観光客に向けたプロモーションです。台湾人が日本に求める観光スポットや起用する人物の調査・選定を行い、企画を進めました。コンペに勝ち受注した後は実際にプロデューサーとして動画撮影の現場も取り仕切っています。
この企画で一番大変だったのは、企画した動画を実際に撮影する過程でした。撮影した映像の仕上がりは、天候次第で大きく変わります。最適なロケーションで撮影を実行するためのタイミングの見極めに苦労しました。また、撮影場所を借りるために地域の人の協力が必要不可欠です。コロナ禍で制約が厳しい中、撮影場所の店舗や観光スポットで実際に対応できる企画なのかをすり合わせながら、柔軟に企画を調整していく必要がありました。そうした苦労のかいもあり、クライアントに大変喜んでいただけただけでなく、この案件で制作したプロモーション動画は、日本国際観光映像祭で優秀作品賞を受賞し、第三者からも評価を得ることができました。
企画は頭の中、制作は現実世界。頭の中でうまくいっても、現実では思い通りに進まないことも当然あります。そういう意味でも、企画より実行が難しいと強く実感したのがこの2つの仕事でした。
やりがいを教えてください。
私は元々幼少期から広告が好きで、一消費者として広告にすごく興味があった人間でした。そうした興味から、見ていた広告の裏側、つまり制作の過程に携わっていること自体が、モチベーションにつながっています。ドラマや映画のオフショットやメイキングをリアルタイムで見ている感覚で、本当に楽しいです。
世に出た後の生活者のリアクションを追えることもやりがいになっています。例えば印象に残っている仕事で挙げたフェリーとアニメのタイアップ企画では、イベント初日に実際に船に乗ってみる機会がありました。そこで、家族で参加している人が多かったり、用意したイベントをイメージ通りに楽しんだりしている様子を見ると、自分の企画が届いたと実感が湧きます。
広告の表と裏、両方味わえるのが広告会社で働く醍醐味ですね。
どんな人が向いていますか?
好きな何かを持っている人です。好きだと自然と知識が身につき、その知識は説得力となりクライアントからの信頼にもつながります。それに、広告会社は携われない業界がないくらい、多種多様な業界と関わる機会があるため、自分の好きが思わぬ新しい仕事につながることもあります。いろいろな好きを持つ社員がいるからこそ、熱心に携われる業界も多くなり、クライアントの幅が広がっていく好循環が生まれていくのではないでしょうか。
あとは好奇心。多種多様な業界に関わるからこそ、知らないことに触れる機会も多いです。担当する会社・業界のことを好きになろうとするためには、知りたい欲を持つ必要がありますし、何にでも関わりたいという好奇心があるのは大切です。
最後に学生へのメッセージをお願いします。
行動が視座の広がりにつながるのを実感しています。自分が好きなことを突き詰めても、人が好きなことに興味を持っても良いです。私が学生のときは、好きなことをやり続けたり、いろいろなバイトを経験したり、社会人向けサークルに入って社会人と絡んでみたり、とにかくやりたいことに取り組んでいました。
それを経て、いろいろな人や物事との関わりから、さまざまな角度の視点を持てるようになるというか。世の中のいろいろなことに目を向けて、観察することができるんです。「自分が好きなものは何か」や「この人が好きなものは何か」というような観察力を養ってほしいです。課題解決につながる企画やアイデアを生み出す下地となって、広告業界での仕事にもきっと活きます!