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レポート

後悔しないための就活術。近い・遠い未来で着目点が変わってしまうのはなぜ? ─ 就活を成功させるための心理テクニック 第4回

橋本之克さん

後悔しないための就活術。近い・遠い未来で着目点が変わってしまうのはなぜ? ─ 就活を成功させるための心理テクニック 第4回

近年大注目の「行動経済学」。不合理な生き物である人間を、心理学と経済学を用いて分析する考え方で、マーケターが消費者インサイト(消費者自身が気づいていない本音や動機)を捉える際にも参考にするメソッドです。就職活動も人の不合理な判断が少なからず起きてしまいます。判断を誤らないように、行動経済学を用いて就活対策をするならば──。第4回は、「就活の軸を大事にしていたはずが、いつのまにか面接の対策ばかりしていた」「OB・OG訪問のメリットを理解しているものの億劫になってしまう」といった心理の原因について。目の前の就活だけでなく、将来の仕事から実生活にも役に立つ、就活を成功させるための心理テクニックをお伝えしていきます。(マスナビ編集部)

だれもが持つ二面性。タイミングによって捉え方が変わってしまうことも

『ジキル博士とハイド氏』や『24人のビリー・ミリガン』などの物語の主人公のように、一人の人間のなかに複数の人格がある状態を「二重(多重)人格」と呼びます。一般の人は、自分とは関係ないことだと思うかもしれません。しかし行動経済学の視点で見れば、あらゆる人はあたかも「二重人格」であるかのように物事に反応し、行動していることに気づきます。原因は「解釈レベル理論」です。

これは
人が心理的に遠い対象にはより抽象的で本質的な点に注目し、逆に時間的に近い対象にはより具体的で表面的な点に注目する傾向のことです。こうした解釈レベルの違いが、判断や行動に影響を及ぼすという理論です。

旅行に行った経験を思い出してください。出発まで時間がある時点では、同行者との楽しい時間などへの期待が膨らみます。しかし旅行が近づくにつれて、計画通りに観光地を巡ることができるか心配になり、細かく確認してしまったことはありませんか? またはスマホを買った経験を思い出してください。便利な機能の多さに魅かれて買ったのに、買った後は面倒に感じて実際には使っていないことはありませんか? 対象と現実に関わるのが遠い先か、または目前かによって、人はまるで違う人格であるかのように対応を変えるのです。ちなみに心理的距離には、現在から現実化までの「時間的距離」だけなく、今いる場所から対象までの「空間的距離」、自分と対象の関係など「社会的距離」も含まれます。

この「解釈レベル理論」は、就活において、どのような影響を与えるのでしょうか。例えば……

この続きは、新刊『なんで?を解き明かす行動経済学が導く 納得就活~就活を成功させるための心理テクニック~』で読むことができます。
書籍『なんで?を解き明かす行動経済学が導く 納得就活~就活を成功させるための心理テクニック~』の詳細はこちら

やらない後悔よりやる後悔。OB・OG訪問は積極的に

行動経済学には「解釈レベル理論」以外にも、遠い未来のより良い自分のために、現在行うべきことを示唆する知恵があります。その一つが「後悔の回避」です。人は対象となる物事に関わったとき、将来的に起きる結果を予測します。もし不快な状態に陥って後悔すると想定すれば、これを避けるような行動を選びます

この心理も就活に影響します。就活では……


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第1回「ゼミやサークルを優先して、就活を後回しにしてしまうのはなぜ?」を読む
第3回「自信?過信?不信? 自分を冷静に分析して、モチベーションもコントロール」を読む
第5回「親・先輩・ゼミ・地元が無意識に影響する!?」を読む

著者プロフィール

マーケティング&ブランディングディレクター/昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員 橋本之克さん
東京工業大学社会工学科卒業後、読売広告社、日本総合研究所を経て、1998年アサツー ディ・ケイ入社。戦略プランナーとして金融・不動産・環境エネルギー等の多様な業界のクライアント向けに顧客獲得業務を実施。2019年独立。現在は、行動経済学をビジネスに活用する企業向けのコンサルティングや研修講師を行う。また企業や商品に関するブランディング戦略の構築と実施にも携わる。著書に『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』(秀和システム)、『世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学』(総合法令)ほか。